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痛みとは何か

2024.01.19

誰しもが経験するものでありつつ、全容が明らかになっていない「痛み」。
特に「慢性痛」は原因も明確ではないため、より多くの人を困らせています。
なぜ痛いのか、何が原因なのかを考えるヒントとして参考にしていただければと思います。

【急性痛と慢性痛】
まず痛みを考えるときには、急性痛と慢性痛に分類されます。

急性痛は筋肉や関節に内包する組織の炎症に応じて痛みを起こし回復に向かって鎮痛します。
痛みのケースにもよりますが、数日から数週間で軽減します。

慢性痛は痛みの患部に原因が必ず有るとは限らず、身体に起こる複数の要因が長期化に繋がっています。
数週間から数年以上に疼痛と緩和を繰り返す傾向があります。

【痛み=行動信号】
急性痛のような痛みのプロセスを経過することは体の反応として適切ですが、
慢性痛のような痛みの出方は複数の要因から成り立っているので、
ご自身の生活全般を見直す必要があります。

例えば、悪い姿勢、運動不足、栄養問題、精神的ストレス、外的環境などが挙げられます。
それを知らせるように脳は痛みとして

「何かをするのをやめなさい」
「何かをしなさい」
「何か違うことをしなさい」

というメッセージを伝えていると考えられます。

【感情と痛み】
足元に同じ重さの鉄球を同じ高さから落とした時、痛みの感じ方は一緒でしょうか?
これはその人の感情や経験に左右されることがあります。

ある論文では以下のことが分かっています。

・痛そうな写真(注射をされるなど)を見たとき痛覚認知に関与する脳領域の血流が優位に上昇する事を発見。
・ヨガの達人は、瞑想中に痛覚刺激を与えたとき、痛み関連脳領域の活動が著しく減弱

痛いことで悲観的になりやすい傾向にありますが、それ自体も痛みを強めている一つの要因とも言えます。

感情がコントロールできることは、同時に痛みのコントロールにもつながることがあります。

【経験と痛み】
注射をするとき自分の皮膚に針が近づくだけで痛がる人がいるように、
私たちは予測次第で痛みを引き起こすことがあります。

「ある動きをする→痛みが出る」
この経験を通して、脳は予測を深めて動作と痛みの関連付けを高めることがあります。

言い換えれば「痛みを出すのが上手になる」ということです。

ピラティスやリハビリにおいて、動作に痛みが伴わないことが大前提です。
質の高い動きを学び、反復することで動作と痛みの関連付けを書き換えることができます。

【ピラティスにできること】
ここまでをまとめると慢性痛の原因として

・自身の生活習慣、環境などによる要因
・感情的な要因
・ある動作と痛みの深い関連付け

が候補に挙げられます。(あくまで一例です。)

ピラティスでは背骨をはじめとしたあらゆる関節の動きを再学習することで、
質の高い動作を獲得していきます。

また適切な呼吸パターンに整えることで、自律神経、感情のコントロールにも働きかけます。

慢性痛を通してご自身の脳は何を訴えているのか考えていただけたらと思います。

参考
[1] Jay Armstrong『What is Z-Health?』
[2]萩野裕一,根本英徳,斉藤繁,後藤文夫,乾幸二,柿木隆介.『痛みの感情側面と痛覚認知』
日本ペインクリニック学会誌2008,Vol15,No1,p. 1-6.

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